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正義を振りかざしてはいるが、ヒマ人ではないかもしれない

sjw

「正義のヒマ人は、どんな人なのか?」という話をつい先日、友人と繰り広げていました。

「正義のヒマ人」とは、ネット上で炎上に参加する方々のことを指しているのだとか。

英語で、Social Justice Warrior(ソーシャル・ジャスティス・ウォリアー 略称:SJW)という俗語までできています。

少し調べてみて驚いたのですが、ネット上の炎上について真剣に研究している方々がおられるのです!

今回はそれらの文献から見えてきたことをご紹介します。

そもそも「ヒマ人」ではないかもしれない

最も驚いたのが、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター助教の山口真一氏の論文です。

実証分析による炎上の実態と炎上加担者属性の検証

約20,000人のアンケート調査データから導かれてきた「炎上加担者」の人物像に驚きました。

  • 年収が多く
  • ラジオをよく利用する
  • ソーシャルメディアをよく利用する
  • 掲示板に書き込む
  • インターネット上でい やな思いをしたことがある
  • 非難しあっても良いと考 えている
  • 若い子持ちの男性

年収が多いということは、それだけ働いているわけです。当然ながらヒマを持て余すということはないでしょう。

「正義のヒマ人」と言われていますが、「ただヒマだから他者を叩く」というわけではないのかもしれません。

ヒマなわけではないことについて、山口氏はもう一つの分析結果も示してくれています。

インターネット全体の利用時間は炎上加担行動に有意な影響を与えていない。

引用元:実証分析による炎上の実態と炎上加担者属性の検証

炎上加担者と無関係な人のインターネットの利用時間を比べても、その違いに傾向はなかったというのです。

「ヒマだからネットに入り浸っている人」が炎上加担者というわけでもないのです。

学歴も関係ない

また、よく聞く論調としての「低能だから騒いでいる」という点においても、山口氏は違った主張をされています。

関係がないとされる条件

  • 学歴
  • 結婚の有無
  • 一人暮らしか否か
  • 都市圏に住んでいるかどうか

これらは炎上に加担する人の特徴として共通するものではないという分析です。

山口氏ははっきりとこう書かれています。

炎上加担行動に、学力水準は影響を与えていない。

引用元:実証分析による炎上の実態と炎上加担者属性の検証

ではなぜ炎上に加担するのか?

炎上の原因について、別の二人の研究者による論文を見つけました。

慶應義塾大学政策・メディア研究科 特任准教授の田代光輝氏と、
関東学院大学人間共生学部 コミュニケーション学科の准教授である折田明子氏です。

お二人の研究によると、

田代や伊地知は、炎上の原因に「反社会的な行為」「知ったかぶり」「特定ターゲットへの悪口・軽蔑」「提灯記事」「利益誘導」をあげている。

引用元:ネット炎上の発生過程と収束過程に関する一考察 ~不具合に対する嫌がらせと決着による収束~

という引用箇所があります。

続けて、ネット上は

自分にとって心地よい情報だけを見ることができる

場所であると書いておられます。

いつもならネット上で、自分に趣味趣向にあった「心地よい情報だけ」を見ることができます。

しかし、そこで「自分とは違う価値観の存在」を文字や映像などで突きつけられることで、

懲らしめたい・直したいという衝動が起こる。

引用元:ネット炎上の発生過程と収束過程に関する一考察 ~不具合に対する嫌がらせと決着による収束~

とされています。

本来、他者と自分は違って当たり前です。

その違いを許容できないのはなぜなのでしょうか…。

この点に関する考察はまだ見つけられていません。

素人考えでは「自己評価の低さ」が原因?

私の素人考えとしては「自己評価の低さ」だと考えています。

自己評価が低いからこそ、自分と違った人を見ると否定せざるをえないのではないでしょうか。

自分に自信があれば「あいつはこう言ってる。ま、それもいいよね。私は違うけどね」で済むはずです。

執拗に攻撃をしてしまうのは、自分の存在を脅かされたと感じるからではないでしょうか。

本人は全力で否定するのでしょうが…。

炎上加担者は1.5%しか存在しない

最後に、ネット上で炎上に加担したことがある人の割合です。

私はこの数字にも驚かされました。

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炎上に加担したことのある、「 1 度書き込んだことがある」「 2 度以上書き込んだことがある」人は、わずか 303 人(約 1.5% )であった(図 3 )。

引用元:実証分析による炎上の実態と炎上加担者属性の検証

「炎上に参加しているのはネットにつながる人の1.5%だけ」しかいないのです。

98.5%はあくまで傍観者。

1 炎上事件を聞いたことがない

2 ニュースなどで聞いたが、実際の書き込みを見たことはない

3 実際の書き込みを一度だけ見たことがある(まとめサイト含む)

4 実際の書き込みを何度か見たことがある(まとめサイト含む)

炎上を知らないか、ただ見ているだけ人たちなのです。

仮に、この確率をインターネット人口にそのままあてはめてみましょう。

●インターネット利用者数、人口普及率の双方が増加
2015年末のインターネット利用者数は、2014年末より28万人増加して1億46万人(前年比0.3%増)

引用元:平成28年版 情報通信白書のポイント

日本国内だけで、約1億人がインターネット利用者です。

その1.5%が炎上加担者ですから、その数150万人。

京都市や神戸市、福岡市の人口がおおよそ150万人です。

これを少ないと見るか否かは、あなたはどう感じますか?

アンケートはあくまで回答者の自己申告

当然ながら、山口氏が分析したデータは「アンケート調査」ですから、あくまで回答者の自己申告です。

炎上に加担したことを隠して回答した人もいたかもしれません。

また、無意識に炎上に加担してしまっていることも十分ありえるでしょう。

これらの数値は反映されていません。

このあたりは、山口氏も当然理解されています。

しかし、その上でもなお、この研究論文は非常に有意義なものではないでしょうか。