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SIXPAD(シックスパッド)のようなEMSダイエット機器は効果を期待できるのか?

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「腹筋を低周波で鍛える筋トレ器具は、本当にダイエット効果があるのだろうか?」という調べもの依頼をくれたのは、ビールが大好きな40代の男性。どうやらご自身のお腹が気になるご様子です。

機械をお腹にくっつけて、ピクピクさせるものといえば誰もが思いつくのではないでしょうか。

今回、商品例として提示されたのは、SIXPAD(シックスパッド)です。他にも、同種の商品として、スレンダートーンやアブトロニックなど様々な商品が販売されています。

さて、どの程度の根拠が出てくるのでしょうか。

Google検索はアフィリエイトだらけ

いつものようにまずは「シックスパッド 効果」とGoogle検索をしてみました。すると、以前調べた美顔器ローラーと同じような検索一覧が出てきて驚きました。

検索結果の1ページ表示されているメーカーと楽天以外は、全てアフィリエイト広告目的のサイトばかりなのです。

サイトの構図も美顔器ローラーと何ら変わりません。効果の検証やメーカーのデータやグラフを引用(盗用?)しながら、公式サイトからの購入を勧めるのです。

私は決してアフィリエイトを否定する気はありませんが、こういう売り方にはどうにも好感を持てません。こうでもしないと売れないのでしょうか…。

記事やレビューは安価に量産

アフィリエイト商材として出ているなら美顔器ローラーと同様に、記事を書く仕事が安価で募集されているはずです。調べてみると、あっさりと見つかります。

【800円/一記事/800文字】ダイエット用品のレビューsixpadという商品の評判の記事

EMSダイエットについて記事【500文字程度】テーマ指定です

引用元:ランサーズ

商品の紹介記事もレビューも創作されたものだと思っておいて、ちょうどいいのです。

20ヘルツの根拠はたしかに存在する

シックスパッドのメーカーサイトには、一人の研究者が前面に掲載されています。それが京都大学名誉教授の森谷敏夫氏。運動医科学、応用生理学を専門とされています。

森谷氏の理論としてサイトに書かれているのが

20ヘルツで刺激すると、張力が落ちずに一定に筋肉は力を発揮することができました。

というもの。さすがに研究者が主張するからには根拠があるはずだと思い調べてみると、関連した論文が出てきました。

筋電気刺激(EMS)を利用した生活習慣病改善の可能性

筋電気刺激(EMS)は電流刺激療法の一つです。以前、美顔器ローラーを調べたときに出てきた一般財団法人日本電子治療器学会 でも紹介されています。

20ヘルツを選ぶ根拠についても、上記の論文で触れられています。要約すると、

  • 20ヘルツより低い周波数だと、筋肉の収縮が安定しないから、筋疲労が起きにくい
  • 50ヘルツよりも高い周波数だと、強すぎて筋肉がすぐに疲れ切ってしまう

ということのようです。このことから以下のように結論づけられています。

この点を考慮すれば,20Hzの周波数が長期間の刺激を利用する場合に有効であると考えられる.

筋電気刺激(EMS)を利用した生活習慣病改善の可能性

研究の目的は筋トレではなく、リハビリ

根拠がしっかりしているあたり、美顔器ローラーとはえらい違いです。こういったデータを調べるのが好きな男性向けに売りたいからでしょうか。

しかし、論文を読み進めていくと、新たな事実が出てきます。この研究が対象としているのは、筋トレなどではないのです。対象として文中に出てくる対象者は、以下のようなもの。

  • 高齢に伴う骨格筋萎縮の場合や骨折, 筋腱の障害によってギプス固定され不活動を強いられた場合
  • 疾患などでベッドでの生活を余儀なくされた場合
  • 長期にわたる寝たきり状態
  • 通常の運動療法が適応できない生活習慣病患者やその予備軍
  • 高齢に伴う体力の低下や骨粗髪症から腰痛や膝痛など整形外科的疾患をもつ人々
  • 運動が制限される糖尿病患者

要するに、自分では運動したくてもできない方々です。その方々の身体が、極度の運動不足にならないように電気刺激で動かしてあげようという研究なのです。

日常生活の動きすらままならない人と、普通に日常を過ごしている人では、求められる運動強度が全く違うことは明らかでしょう。

電気刺激療法はまだまだ発展途上

他の文献にあたって調べていると、電気刺激療法についてはまだまだわからないことが多く、学界でも様々な議論がされていることが見受けられます。

リハビリテーションの分野で電気刺激療法は,従来,鎮痛や筋力強化などの目的で使用されてい るが,有効性がほとんど証明されていない.

リハビリテーションにおける電気刺激療法の展望

美顔器ローラーの時に出てきたマイクロカレントと同じく、「肯定も否定もできず、よくわからない」というのが現状なのです。

医療の現場にいる人も有効性に実感がない

この論文では、医療現場で実際に機器を使っている方々ですら、有効性を実感できていないことにも触れられています。

低周波・干渉波装置は所有率の高さに比較して,有効性はあまり感じられていないのが現状のようである.

リハビリテーションにおける電気刺激療法の展望

この根拠とされているのが、2008年に発表された「運動療法機器・作業療法機器の使用頻度およびその効果」に関するアンケート調査結果です。

日本リハビリテーション医学会が医療機関を対象に行ったもの。医療現場で、運動療法機器・作業療法機器の使用頻度や有効度などについて調べられています。

その中で、患部を温めるホットパックを「非常に有効」とする回答は、 24.8%でした。それに対し、EMSが該当する「低周波・干渉波」は…

その他の物理療法機器では,10%程度であり,あまり有効と考えていなかった .

「運動療法機器・作業療法機器の使用頻度およびその効果」に関するアンケート調査結果

これが医療現場で治療にあたっている方々の実感です。低周波による電気刺激療法は、目に見えるような効果が出るには至っていない分野だと理解するのが妥当なところではないでしょうか。

当たり前すぎる結論

あまりに当たり前な結論ですが、結局のところ、自分の体は自分で動かすしかないのです。

先の論文の結論にもこうあります。

ヒトは自らの意思で動くものであり,決して外部刺激で動かされることは,自然なことではないということを忘れてはいけない.

リハビリテーションにおける電気刺激療法の展望

真面目な研究の意図的な拡大解釈

電気刺激療法そのものは、これから研究が進むことで、様々な応用が見出されていいくことと思います。

しかし、「この機械を1日数分だけ装着するだけで、腹がやせる!」という売り文句は、美顔器ローラーの時と同じで、研究成果の拡大解釈と言わざるをえないでしょう。

「これさえやれば大丈夫!」といった類の売り文句は、そのほとんどが一過性の「問題対処」に過ぎません。根本的な「問題解決」をめざさない限り、役に立たない物を買わされ続けることになるのですね。

SIXPAD(シックスパッド)のようなEMSダイエット機器は効果を期待できるのか?” への2件のフィードバック

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