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自由に翻訳していい著作物が存在することに驚いた

翻訳

「英語の勉強のために、日本の小説やWebサイトの記事の翻訳をしてみたいんだけど、さすがに翻訳文を勝手にネットに公開するのはヤバいかな?」という調べもの依頼をいただきました。

あわよくば広告収入も狙いたいとのこと。

さすがに厳しいだろうとは思いながらも、調べてみると結果は当然NG。

ですが、副産物として、非常に興味深い「例外」が出てきました。

著作権の一つ「翻訳権」

著作権について初めて調べたのですが、その内容は多岐に渡るのですね。

その著作権の中に、このような権利も含まれるのです。

(翻訳権、翻案権等)
第二十七条 著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。

引用元:公益社団法人著作権情報センター

翻訳権や翻案権という表現を初めて知りました。

また、これらの権利がいつ発生するのかも、今回初めて知りました。

著作権は、著作者が著作物を創作したときに自動的に発生します。

引用元:公益社団法人著作権情報センター|著作者にはどんな権利がある?

自動的に発生するというのは、実に興味深いところです。

ということは、私が好き勝手に書いているこの記事内容についても、次々と著作権が発生しているのですね。

このことは教わることも自覚もないので、なんだかとても不思議な気がします。

著作権が保護される期間

発生するときは自然と生まれる著作権ですが、保護される期間はいつかは消えます。

現在では、「著作者の死後50年」というのが原則とのこと。

「著作権(財産権)」の保護期間
ア 原則
「著作権(財産権)」の保護期間は、著作者が著作物を「創作したとき」に始まり、原則として著作者の「生存している期間」+「死後50年間」です (第51条)。

引用元:文化庁|著作権なるほど質問箱

国外の著作権とは条約で合意形成

手厚く保護されている著作権ですが、これが海外ともなると少々ややこしくなってくるようです。

例えば、日本国内のコンテンツを翻訳して、諸外国で使用する場合、保護する範囲や期間などを日本の法律で守るのか、現地の法律を適用するのか?といった点です。

これらは、国同士が条約に締結して「お互いに守り合おうね」という宣言をしているのです。

• 文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約(ベルヌ条約)-1886年
• 万国著作権条約-1956年
• 著作権に関する世界知的所有権機関条約(WIPO著作権条約又はWCT)-1996年
• 実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約(WIPO実演・レコード条約又はWPPT)-1996年

引用元:KITIE-慶應義塾大学日吉メディアセンター|著作物の利用

条約はあくまで「国家間の合意」ですから、いつ変わってもおかしくないものです。

とはいえ、加入している間は機能します。

その中で、私が驚いたのが「旧」ベルヌ条約です。

翻訳権が消滅している著作物が存在する

消滅
vuralyavas / Pixabay

文化庁のサイト『著作権なるほど質問箱』には「翻訳権の保護期間」に関する記載があります。

そこには一部の著作物について翻訳権の消滅に関する内容が書かれているのです。

(イ) 翻訳権10年留保
我が国はかつて、著作物が最初に発行された年から10年以内に翻訳物が発行されなかった場合翻訳権が消滅し、自由に翻訳することができる制度(翻訳権不行使による10年消滅制度)を適用することを、ベルヌ条約上、宣言していました。

引用元:文化庁|著作権なるほど質問箱

こちらのサイトが上記内容を簡単にまとめてくれています。

1. 原著の刊行された時点から10年 (該当する場合には+戦時加算) 以内に、日本国内で正式に契約されて翻訳出版がされなければ、その本の翻訳権は自由使用となる。

2. その10年以内に翻訳出版されれば、一般の著作権の保護期間だけ、翻訳権も存続される (つまり、死後50年+該当する場合には戦時加算)。

引用元:翻訳権について

非常に手厚く守ってくれ著作権法ですが、その中にも「例外」が存在するのですね。

自由使用というのは、さすがにやり過ぎだと判断されたみたいで、のちにこのベルヌ条約は撤回されています。

しかし、上記の「例外」を適用された著作物に関しては、現在もなお使えるようです。

翻訳権が消滅している作品とは?

では、実際にどのような作品が「例外」に含まれているのでしょうか?

上記の「翻訳権について」というサイトには、このような記載があります。

クイーンやカーやクリスティーの初期作が数社の文庫から出たり、〈世界探偵小説全集〉 をはじめクラシック・ミステリの企画が翻訳権を取得せずに出すことができるのは、この 「10年留保」 条項のおかげです。

引用元:翻訳権について

また、Yahoo知恵袋でもこのような書き込みを見つけました。

朝ドラ「花子とアン」で主人公が「王子と乞食」の翻訳をしてますが、大正時代の日本での海外作品の著作権はどうなっていたのでしょうか。外国の版元に連絡をしていたのでしょうか?
ライセンスがどうなっていたのか、どなたかご存知ですか。

引用元:Yahoo知恵袋

他にも探せば見つかりそうですね。

今回の依頼者にも今回の調べもの内容をお伝えしました。

古典英文学もお好きな方なので、「自由に使えそうな作品を調べてみます!」と意気込んでおられました。

海外版『青空文庫』のようなものは、ないものかな。

今度はこちらから「海外版青空文庫みたいなものはありませんか?」という調べもの依頼をしてみます。