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性格適性検査を重視した採用は、組織を脆くする

適性検査

採用試験で、誰もが一度は経験するのが「適性検査」。

今では様々なサービスが販売されています。

しかし、性格を重視して採用の合否を決めることは、本当に組織を強くするのでしょうか?

2種類に大別できる適性検査

この適性検査は、大きく2種類に分けられます。

 

  • 一般知能検査
  • 性格適性検査

一般知能検査は、学校のテストのような検査です。

内容もよくある国語・算数などの問題やIQテストのようなものもあります。

もう一方の性格適性検査は、パーソナリティー心理学の知見を活用し、求職者の性格特性で適性を測るものです。

厚生労働省は性格での合否を許していない

許していない
geralt / Pixabay

しかし、厚生労働省の指針により性格で採用の合否判断をすることは許されていません。

だからこそ、「性格検査」とせずに「適性検査」という表現をされています。

厚生労働省の指針を順守する熊本労働局のサイトにもこう明記してあります。

「血液型・星座」と性格とは科学的根拠に裏付けられたものではなく、職務能力とは全く関係のないものです。

引用元:熊本労働局|公正な採用選考のために

にもかかわらず、昨今では性格適性検査が企業側で強化されています。

入社後に鬱などを発症されると困るので、そのリスクを少しでも回避したいがためというのが大きな要因です。

性格による選別はおすすめしない

私も「真に意義ある採用手法」について真剣に研究する過程で、この適性検査についても調べていました。

現時点の結論としては、職務適性を性格で判断することはおすすめしません。

かといって、厚労省におもねるわけではありません。

脆弱な組織を形作る原因になることが判明してきたからです。

組織の均一化は脆さと紙一重

特定の性格の人を集めると、どんな組織になるのでしょうか?

例えば、ある組織が外向性の高い人を好んで採用し続けたとします。

この採用方針からもっと外れていくのは、神経症傾向が低い方でしょう。

すると、どんな組織になるでしょうか?

次々と新しいことを始めるばかりで、内省をしない傾向に傾いていくでしょう。

また、日々の業務に潜む、様々なリスクに気づくことも少なくなります。

いつか、大きな事故やトラブルに見舞われることが安易に想像できます。

その逆もまた然り。

神経症傾向が高い人だけ集めてしまっても、問題は起こります。

思考が偏るだけで、実際の動きに昇華できないままになるかもしれません。

結局、どちらの特性も組織にはいてくれた方がいいのです。

「うちの営業部で成績を上げている人はこういう性格の人が多いから、同じような人を集めよう」
という単一化は、大きな脆さを内包します。

自然界では当たり前

これは自然界では、ごく当たり前に起こっていることです。

生存競争の厳しい自然界では、多様性が生き残る術。

ビッグファイブ理論で表せる5つの性格特性因子は、それぞれの特徴の持ち主が協力しあうのが有効なのです。

性格適性検査は、選別に使うことは有効ではありません。

むしろ、自分とは違う他者を理解し、協力関係を築くツールに使うものです。

管理のしやすさを優先し、脆さを許容する?

たしかに、確かに均一の方が管理しやすくなります。

経営者が優秀な間はそれで持つでしょう。

しかし、拡大成長していくうちに、いつかは経営者の目が届かないところが出てきます。

管理型には限界があるのです。

そもそも、管理できないことが世の中にはあまりに多いのですから…。

性格は選別よりも活かし方を見出すことに使う

さまざまな研究者の知見が切り開きつつあるパーソナリティ研究。

選別にだけ使うのはあまりにもったいないです。

自分と違う他者との協力をするために、ぜひとも活用してください。

選考時に適性検査を課すのではなく、入社時にこそ実施するといいでしょう。

配属される部署の全員がお互いの特性を知ることこそが有益です。

多様性を許容するために「違いの見える化」が有効ではないだろうか?

多様性

高さ170cmの棚に、他者の背丈が届かないことで怒りを覚える人はいるでしょうか?

多くの人は「身長によっては届かなくても仕方ないよね」という理解をするだけでしょう。

日常生活の中でも、身長の低い人が高い人に「タンスの上の〇〇を取って」と依頼することは、ごく自然なものです。

ところが、これが「性格」となると話が全く違ってきます。

「わからない」ことがトラブルを生む?

「身長」という特徴は、物理的なもので誰が見てもわかる違いです。

だからこそ、健全な諦めが可能です。

一方、性格は見ただけではわかりません。

この「わからなさ」が人間関係の様々なトラブルの温床になりがちなのです。

例えば、ビッグファイブ理論における特徴の違い。

外向性が高い人は、自分の外部に刺激を求める傾向にあります。

  • 人がたくさん集まるパーティーが好き
  • 絶叫マシンのような激しいアトラクションを好む
  • 一夜限りの恋を求めることもある
    (他の4つの因子とも関連するので、外向性だけでは決まりませんが、あえて単純化します)

外向性が低い人からすれば、外向性が高い人の上記のような行動は理解ができません。

性格への遺伝の影響を知らなければ「なんであいつはいつも落ち着きがないんだ!」とただ怒りを覚えるだけになることもあるでしょう。

しかし、相手を突き動かしているものの半分が「遺伝」だとわかると、しぶしぶながらもある程度は「仕方ないよね…」と健全な諦めに至ることも多いのです。

身長の高さという身体的特徴を変えようとしないことと同じで、相手を変えようとしなくなることの方が有益なことは少なくありません。

変えにくいものに注力するよりも、変えやすいものに注力した方が明らかに効率的ですから。

遺伝が影響するのは、身長9割、性格5割

双子
AdinaVoicu / Pixabay

遺伝の影響を研究する分野では、別々に育てられた一卵性双生児研究の類似性があります。

その研究の結果の一例として

身長では9割、外向性などの主要な5割、推理や空間把握能力は4割台、記憶や言語能力では3割台

引用元:『だまされ上手が生き残る 入門! 進化心理学』P.63

という説があります。

「身長が決まる要因の9割が遺伝の影響」だということに、違和感を覚える人は少ないでしょう。

だからといって、全く変えられないわけではありませんが、非常に変えにくいものであることも事実でしょう。

一方、性格は5割。

半分ですから、これを多いと感じるか、少ないと感じるかは人それぞれでしょう。

どちらにせよ、人間の性格の半分が遺伝の影響を受けているというのは事実です。

遺伝的な影響を「見える化」するのがビッグファイブ理論

その生まれ持った特徴は、日常では断片的に「行動」として垣間見えるだけです。

数値として「見える化」するために有効な一つ手法がビッグファイブ理論なのです。

実際、パーソナリティ心理学を学ぶことで、人付き合いはとてもラクになります。

自分と違う人の行動パターンを許容できる幅が増えます。

私の友人に、非常にマイペースで行動的な人がいます。

ただ、ちょっと周囲への配慮が薄く、マイペース過ぎる傾向にあります。

以前の私であれば「あいつはなんでこうなんだ」と怒りを覚えていたことでしょう。

しかし、今では「外向性と経験への開放性の高さと、共感性、神経症傾向の低さがあの行動を生んでいるんだな」と理解できます。

ある程度行動パターンを理解できるからこそ、行動を予測して準備やフォローも可能となるのです。

相互理解が他者との協力の基盤となる

お互いが違いを把握していれば、「なんでアイツは!」という怒りを覚える機会は大幅に減ります。

身長と同じで、後天的にあまり変えようがないものに対して、怒りを抱くことは少ないものです。

「なんでアイツは身長が低いんだ!」と怒ったところで、何の意味もありません。

また、不用意に「相手を変えよう」ともしなくなります。

「変えよう」というのは、部分的には「現状の否定」でもあります。

否定しにかかってくる人間と良好な関係を結べる人は、きわめて稀なもの。

不用意に他者を変えようとアプローチをすることは、トラブルを量産するだけです。

他者との違いを理解できるようになることが多様性と付き合える入り口となるでしょう。

身長のような見ればわかる違いが問題になることはありません。

性格はすぐに目に見えないからこそ、できる範囲の数値化が有効ではないでしょうか。

 

『だまされ上手が生き残る 入門! 進化心理学』
著者:石川 幹人

自分の性格を変えたい人は、パーソナリティ心理学を学ぼう

パーソナリティ心理学

「自分の性格を変えたい」という方は意外と多くおられます。

自分の性格が嫌いな人に会うことも決して少なくありません。

このような方々にこそ強くお勧めしたいのが、パーソナリティ心理学を学ぶことです。

この分野にはMBTIやエニアグラム、DiSC理論など、さまざまな分析の仕方があります。

どれも実用的な分析ですが、昨今の心理学の趨勢から、特性5因子理論(ビッグファイブ)を学ぶのが最も有益だと私は考えています。

学び始めに最適の一冊

比較的読みやすくて、詳しいのがこの本。

『パーソナリティを科学する 特性5因子であなたがわかる』
著者:ダニエル・ネトル

著者のダニエル・ネトル氏は、英国ニューカッスル大学生物心理学部の専門家。

日本では2009年に出版された本なので、現在ではより研究が進んでいるかもしれません。

それでもなお、特性5因子理論(ビッグファイブ)を学び始めるのには、とても良質な一冊です。

特性5因子理論(ビッグファイブ)診断

ビッグファイブは、人の性格特性を5つの因子で表します。

  1. 外向性
  2. 神経質傾向
  3. 誠実性
  4. 調和性
  5. 経験への開放性

診断方法は、簡易なものから専門的なものまでをまとめていますので、こちらをご覧ください。

性格の50%は遺伝で決まる。だからこそ、自分の特徴は掴んでおこう

それぞれの数値がすべて高いほど良いのかというと、そうではありません。

全ての特性について高い場合も低い場合も、メリットとコストの両方が存在するのです。

だからこそ、自身の特性を知ることが重要なのです。

生きるコツとは、これらのコストにうまく対処し、ともに生き、押しつぶされないようにすることである。

引用元:『パーソナリティを科学する 特性5因子であなたがわかる』P.141

自分の性格に悩みがちな人の強み

神経質
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往々にして、自分の性格を思い悩む人の多くは「神経質傾向」が高い人です。

ひと言で表現するなら「ネガティブな情動への反応が強い人」です。

何かをすることで獲得できそうな報酬や性的興奮、知的好奇心よりも、不安への反応が勝る傾向を持っているのです。

これだけを見ると自分の性格をより嫌ってしまうかもしれませんが、当然ながら神経質傾向が高い人にはメリットもあります。

厳しい環境下で生存確率が高くなる

神経質傾向が低すぎると、死亡率を増大させることが知られています。
リスクに気づかなかったり、楽観的なあまり危険を放置するため生存確率が下がるのです。

ものごとの現状が正しくないと感じ、変えたいと強く思う

だからこそ、自身がかかわる領域で革新者となる可能性が高いのです。

失敗への恐れをバネにとてつもない努力を果たし、成果をあげる

取りつかれたように仕事をする人がいます。
当然ながら、その中で着実に結果を出していきます。

最も注目すべきは「現実を冷静に見極める力」

中でも、神経質傾向が高い人の特徴は、現実を冷静に見極める力を有すること。

ものごとを楽観的に見ないので、人間が陥りがちな「不確かな思い込み」に目が曇ることが少ないのです。

この能力は、仕事において必ず役立ちます。

株で勝っている人に、神経質傾向が高い人が多いのは有名な話。

他に専門知識を詳細に学ぶ研究分野でも活かせるでしょう。

社内のさまざまな危険に気づき、事故が起きる前に対策を講じることもできるでしょう。

しかし、「ポジティブ信奉者」は、神経質傾向の特徴を一笑に付すことでしょう。

何らかの具申をした記録を残しておいて、放っておきましょう。

いつか困るのは、ポジティブ信奉者ですから…。

性格を変えることより特徴を活かす術を見つけられる

性格の半分は、持って生まれたものです。

身長や体格、顔の形と同じで、大きくは変えようがありません。

だからこそ、それらを活かす術を学びましょう。

そのための大きなヒントが特性5因子モデル(ビッグファイブ理論)にはありますよ。

『パーソナリティを科学する 特性5因子であなたがわかる』
著者:ダニエル・ネトル

変化に富む時代を生き抜く力を培う「冒険教育」

冒険

「冒険が人を成長させる」と聞くと、あなたはどう思いますか?

実は、誰もがこの「冒険」の経験を経て、成長し続けてきています。

子どもの頃は、世界は「未知」で満たされています。

小さい頃は、初めて見つけた路地裏を通るだけで、おもしろかったものです。

あのワクワク感こそ、冒険の魅力ではないでしょうか。

そして、この「冒険」をテーマにした教育手法が存在します。

日本では、冒険教育、アドベンチャー教育、プロジェクトアドベンチャーといった表現をされています。

私も何度か参加したことがあるのですが、とても有意義な経験ができました。

今回はこの「冒険教育」のご紹介です。

そもそも「冒険」とは何か?

まずは、辞書で意味を調べてみました。

【冒険】
危険な状態になることを承知の上で、あえて行うこと。成功するかどうか成否が確かでないことを、あえてやってみること。

引用元:goo辞書「冒険」

辞書の意味を見ると、なかなかに危なそうです。

このような危険なことを教育として活用することに、違和感を覚える方もおられるかもしれません。

しかし、私たちが生きている毎日と実は大差がないことにお気づきでしょうか。

特に、辞書の解説文の後半部分
「成功するかどうか成否が確かではないことを、あえてやってみること」
これは私たちに日常と共通してはいないでしょうか。

現代は、変化が目まぐるしい時代です。

技術革新があちこちで生まれ、さまざまな産業が次々と淘汰されていきます。

このような時代の中で「成功することが確実」などというものは存在しません。

成功するかどうかわからないことに、誰もが取り組むしかないのです。

これはまさに「冒険」です。

しかし、みなさんは「冒険するときに大事なこと」を教わった経験がありますか?

これからの時代に必須である学びのはずです。

しかし、残念ながら日本の学校という枠組みの中では、教わることはありません。

教科書を読むだけではとても学べないのです。

だからこそ、有効なのが安全に冒険を経験できる「冒険教育」です。

冒険教育とは何か?

ひょうご冒険教育のサイトには、こう記載があります。

冒険を通して、協力、信頼、問題解決、達成感、自己への理解などを学ぶ教育プログラム

引用元:ひょうご冒険教育

冒険の中で、他者との協力や目標達成の喜び、自己受容などを体得するのです。

しかし、単に危険の中へ野放しにするわけではありません。

参加者が主観的に危険を感じるだけで、施設側は万全の安全策を講じています。

「危険の中に放り込む」のではなく、「危険だと感じる環境を演出する」という表現の方が的確でしょう。

Googleの社内研修でも使われている

「冒険にチャレンジできる人になってほしい」という思いは、親御さんだけでなく、企業の経営者も社員に対して抱いています。

実際、誰もが知っている企業でも研修に活用されています。

Googleの社内研修制度をつくっているゴーピ・カライル氏の著書でも冒険教育が紹介されています。

『リセット ~Google流 最高の自分を引き出す5つの方法~』
著者:ゴーピ・カライル

冒険に取り組む姿勢は、これからの時代に必須となる資質なのです。

非日常環境の中で経験から学ぶのが冒険教育

冒険
Hans / Pixabay

とはいえ、「冒険しろ」と言われても何をすればいいのかわかりません。

そこで、日常ではまず経験しない環境を意図的に作り、そこでの経験からの学びを促進するのが冒険教育です。

「非日常的な環境」と言われてもイメージできないと思いますので、少しだけご紹介します。

本当は、まったく何も知らないで冒険教育に飛び込むのが一番です。

しかし、何もわからないと「経験してみよう」とすら思うこともありませんから、少しだけ。

高さの違う2種類のワーク

基本的には、自然豊かな環境にある専用施設内で行われます。

取り組む活動内容は、大きく分けると2種類あります。

  • 低地で取り組むワーク【ローエレメント】
    • 高さ1~4mほどの施設で取り組む
  • 高地で取り組むワーク【ハイエレメント】
    • 高さ5m以上の施設で取り組む

それぞれ、何をするのかについては、埼玉県立神川げんきプラザのサイトからの一部だけ引用しますので、ご覧ください。

ローエレメント

トラストフォール
仲間の支えを信頼して、背中から倒れこみます。

島わたり
板を使って、落ちないように3つの島を渡ります。

タイヤ木
木に触れないで、タイヤを抜き、再び入れます。

ジャイアントシーソー
バランスを取りながら、全員が乗ります。

ウォール
全員が壁を登りきります。

浮き台わたり
ロープを使って、全員が浮き台に渡ります。

ハイエレメント
バンパーポール
高さ5mの丸太の上から、目標のボールめがけて飛びつきます。命綱が頼りです。

ジャイアントラダー
命綱を他の参加者が支え、体育館の天井まである巨大なはしごを、2人が協力して登ります。

引用元:埼玉県立神川げんきプラザ

これら以外にも屋内で取り組むワークも存在しますが、やはり専用施設を使って冒険に飛び込むのが冒険教育の醍醐味です。

協力の中で育まれる「他者と協力する力」

協力
skeeze / Pixabay

冒険教育のワークは、仲間を信頼し、仲間と協力するのが基本です。

これまた実社会とまったく同じです。

しかし、他者と協力するためには、人間関係を築く力が必要となります。

冒険教育では、実際にさまざまな人と協力せざるをえないので、少しずつ経験を積み重ねながら体得することが可能なのです。

正解がない中で、他者と力を合わせながら、自分たちの答えを築き、困難を乗り越えていくことこそ、現代で求められている教育ではないでしょうか。

冒険教育は、この役割の一部をしっかりと担っています。

冒険教育を経験できる場所

まだまだ数は少ないですが、以下は比較的有名です。

より詳しく知りたい方へ

さきほどご紹介した埼玉県立神川げんきプラザの「動画でわかるアドベンチャー教育」のページには、、動画がいくつか紹介されています。

興味がある方は、ぜひご覧ください。

ただ、ご自身が参加される場合は、あまり詳しく知らない方がいいでしょう。

知らない方がより「冒険」になり、学びが深くなりますから。

お子さんを冒険教育に参加させようかどうか迷っている方は、ぜひ一度動画をご覧ください。

「安全に冒険を経験できる」という意味が少しわかるかもしれません。

天職と出会うためにアドラー心理学を活かせた人の話

tensyoku

今やすっかり有名になったアドラー心理学。2013年に『嫌われる勇気』が発売されて以来、一躍有名になりました。その反響はとても大きく、舞台化やドラマ化までされるほどです。

ただ、個人的には「ブームが早く静まらないかな」と思っています。

このアドラー心理学「実践が難しい心理学」と言われています。

アドラー心理学を理解し、実践できるようになるには「それまで生きてきた年数の半分の時間がかかる」とさえいわれているほどです。

引用元:『嫌われる勇気-自己啓発の源流「アドラー」の教え』

一過性のブームで、アドラーのメッセージを曲解した人が「ただ嫌われる人」にならないことを願うばかりです。

アドラー心理学の貴重な実践者を見つけた

実践が難しいアドラー心理学ですが、偶然読んだ本でその実践者を見つけました。

発達障害の「生き方」研究所というブログの運営者の岩本友規氏です。

彼の著書『発達障害の自分の育て方』を読んで、「まさにアドラー心理学の実践者だ」と驚きました。

岩本氏は、ご自身が発達障害(ADHD、アスペルガー症候群)で薬を飲みながらも、社会で活躍されています。この本は、彼が自分とどのように向き合い、活かし方を築いてきたのかを書いてくれている良書です。

以下が本の目次です。

【目次】

1章 大人の発達障害克服体験記

2章 あなたはこれからどう生きる?大人の発達障害の現実と未来

3章 大人の発達障害克服マニュアル

Part1 脳疲労をとって、改善の意欲をとり戻す
Part2 自立してストレスに負けない心身をつくる
Part3 天職を探す

『発達障害の自分の育て方』主婦の友社

天職探しをする前に必要なのは「自立」

私が注目したのが3章のPart2~3です。天職探しをする前にやるべきことがあると書いておられます。

それが「自立」

しかし、ここでいう「自立」は辞書的な意味ではありません。

じ‐りつ【自立】

他への従属から離れて独り立ちすること。他からの支配や助力を受けずに、存在すること。

引用元:デジタル大辞泉

上記のような「自立」に至る前に、まず心理的な自立を築く段階があるのだと、岩本氏は書かれています。

やはり本当の自分の生き方をするためには、まず自己本位で生きる

引用元:『発達障害の自分の育て方』 P.118

「自己本位に生きろ」というと、「自分勝手に生きろというのか?」とお怒りになる方もおられるかもしれません。

しかし、人間は本来自分勝手な存在です。その怒りも、自分で勝手に抱いた感情であることもその一つの証ともいえるでしょう。

自己本位な生き方が結果的に天職へと繋がる

自己本位になることで、自分に許可できるようになるのが「他者の目を気にせず、感情のおもむくままにやりたいことをやってみる」というもの。

初めは「どんな評判をささやかれるのだろうか…」と怖さを感じることでしょう。しかし、結果的に、大半の人からは全く関心も注目もされないものです。

それどころか、一部の方々からは強い共感を示してもらえるかもしれません。もっとごく一部の方からは「助かった」と感謝されるかもしれません。

その時、自己本位な生き方は、結果的に「他者貢献」になるのです。そう、アドラー心理学における「幸せ」を形作るうえで、要となる「他者貢献」です。

貢献感を持てて、なおかつ自分がやり続けたくなる仕事こそ、天職ではないでしょうか。

『嫌われる勇気』の続編『幸せになる勇気』で岸見氏はこのように書いておられます。

利己心を追求した先に、「他者貢献」があるのです。

引用元:『幸せになる勇気』 P.119

この一文で岸見氏が伝えたいことは岩本氏と同じだと、私は理解しています。

必要とする人が見つけてくれる

私の友人に研究者をめざして、日夜研究に励んでいる人がいます。しかし、彼の研究分野は「すぐに誰かの役に立つ」といったものではありません。

非常にマイナーな分野なので、日頃は注目されることもありません。加えて、同業の研究者の数も非常に少ないそうです。

その世界で生きていく上で、恩師が教えてくれた大事なことが下記の言葉。

「私たちの研究はすぐに人の役に立つことはない。しかし、研究を続けていれば、世界中の誰かが私たちの研究を見つけてくれる。

だから、発信していきなさい。論文を書きなさい。必要としてくれる人が必ず見つけてくれるから」

これは研究者だけでなく、全ての人に通じるメッセージではないでしょうか。

やれる範囲でいいからやりたいことをやる

人から理解されなくても、自分がやってみたいことがあれば、やれる範囲でいいのでぜひ試してみてください。それを必要とする人が世界にはきっといますから。

その時こそが、天職に近づく時となるでしょう。

性格の50%は遺伝で決まる。だからこそ、自分の特徴は掴んでおこう

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私が「それぞれの人が自分を活かすにはどうすればいいのか?」を研究する中で、パーソナリティー心理学も学んでいます。

性格形成に教育の影響はほとんど見られない

その中で、非常に驚いたのが「性格と遺伝」に関する研究結果です。

『パーソナリティを科学する―特性5因子であなたがわかる』

作者はイギリスの大学で、生物心理学部に所属する研究者。この本によると、人の性格が形成される際、親の教育や家庭の影響はほとんど見られないというのです。

同様のことは、日本の研究者からも報告されています。

行動遺伝学、教育心理学を専門とする慶應義塾大学文学部教授の安藤寿康(あんどう じゅこう)氏。

『心はどのように遺伝するか』
『遺伝子の不都合な真実―すべての能力は遺伝である』

などの著作が有名です。

安藤氏に関する記事にも以下のような記述があります。

Q7.性格は遺伝で決まるって本当ですか?

≪中略≫こうした遺伝子の違いがどのくらい一人ひとりの性格の違いを説明するかをふたごのデータから算出すると,だいたい50%前後になります。これは残り50%が環境によることを意味します。しかし親の影響や家庭の影響(これを共有環境といいます)は先にも述べたようにほとんどみられません。

引用元:心理学ふしぎふしぎ - 公益社団法人日本心理学会

親が必死で「主体的な性格の人間になるように育てよう!」と息巻いたところで、子供の性格にはあまり影響を与えられないのです。

遺伝子が目覚める

しかし、遺伝子だけで全てが決まるわけでもありません。何らかの遺伝子を有していたとしても、その遺伝子が働かなければ、何の影響も及ぼしません。

持って生まれた遺伝子が後天的な何らかの影響を受けて、その働きを変えていくことを「エピジェネティクス」と言います。

エピジェネティクスは「DNA 配列の変化を伴わず、後天的な修飾により遺伝子発現が制御され維持される仕組み」を表す

引用元:http://www.takara-bio.co.jp/epi/pdfs/epi_0a.pdf

「遺伝子があるから」といって、何もできないわけでもないのです。

遺伝から受ける影響の一部を知る方法

それでも、遺伝の影響を受けることは確か。ならば、今の自分がどのような影響下にあるのかを知るのは有益です。

そのためのひとつの材料がパーソナリティー心理学で、ビッグファイブ・特性5因子モデルと言われる研究です。

冒頭で紹介した本もこの分野の研究に関するもの。このテストに関する専門書も読み始めれば、非常に興味深いものばかりです。

しかし、最初は先達が残してくれている研究を活用させてもらうのがいいでしょう。

本格的なBigFive診断テスト

富山大学の村上宣寛氏が非常に詳しい診断テストを作ってくれています。

外向性、協調性、良識性、情緒安定性、知的好奇心という基本的な性格の次元を測定

主要5因子性格検査(BigFive,デモ版)

10の質問に答えるだけの簡略化バージョン

また、10個の質問だけに簡略化したものを早稲田大学の小塩真司氏が公開してくれています。

小塩氏のサイト
日本語版Ten Item Personality Inventory(TIPI-J)
<回答フォーム>のTIPI-J(日本語版TIPI pdf)をクリック

J-STAGE
日本語版Ten Item Personality Inventory(TIPI-J)作成の試み

これらの診断テストを使って、自分が生まれ持った特性の一部を理解しておくことは、自分を活かす上でも有力な情報となりますよ。

「教育をしない教育」で世界に通用する星野リゾート

geralt / Pixabay

「教育を施すことは絶対に正しいことだ」という主張に対して、反論できる人はいるでしょうか? 会社や学校でこのようなことを言い出せば、爪はじきにされかねない危険な考え方かもしれません。

しかし、「教育しないこと」を大切にしている企業が存在しているのも事実です。一つは前の記事で紹介したネッツトヨタ南国。

他にも、昨今飛ぶ鳥を落とす勢いで成長する星のリゾートも非常に近いものを持っておられます。

そのエッセンスが語られている記事がありました。

教育をしないと公言できる会社

「社員教育はしません。でも世界で通用します」――星野リゾート、自立したチームをつくる「超オープン戦略」

引用元:星野リゾート

国内外で数々のリゾート開発、旅館経営を成功させている星野氏。その彼が「社員教育はしません」と言い切ってしまっているのです。それでも、世界に通用するのだと…。

星野リゾートでは基本的に社員教育をしていません。

引用元:http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45973

「教えない」星野リゾートの教育

とはいえ、全く何もしないわけではありません。当然、基礎的な技術の習得は教えます。このあたりはネッツトヨタ南国と同じです。正解がはっきりしているものは、教えてしまえばいいのです。

しかし、現場で起こることに対応をしていくのは、その場にいる人にしかできません。経営者とはいえ、全てを牛耳ることはできないのは厳然たる事実。

経営者が出す答えを現場の人間に教え込む教育では、対応しきれないのです。

指示待ち人間を作っているのは教育?

また、他者が答えを教え込むことは「あなたに必要な答えには、あなたの力ではたどり着けない」という暗黙のメッセージにも繋がります。

この状況に陥れば陥るほど、人は他者に答えを求めます。そして、世間で言われる「指示待ち人間」が出来上がるのです。

管理職同士の会話で「最近は指示待ち人間が増えた」などという話を聞きますが、実は自分たちが増加の大きな要因の一つであることも理解する必要が出てくるでしょう。

教育が人を弱くすることも…

教育をする弊害について、もう一つ記事を紹介します。

教育したら、人はすぐに弱くなる

引用元:武術家・光岡英稔

格闘家の世界でも、同様に教育を人を弱くすることがあると事例を書いてくれています。この場合は、人を枠にはめることで、その持ち味を殺しているという理解でしょうか。

会社であれば、就活や新入社員研修という儀式がこの役割を果たしていると言えるでしょう。

むしろ、現場にいる人たちが自分で考えて、自分なりの対応策を講じていけるように後押しをするしかありません。上記の星野氏もご自身の仕事の定義をこう話しておられます。

そこで、私の仕事は環境を提供することです。

引用元:http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45973

人材教育は調べれば調べるほど、その深さに圧倒されるばかりです。しかし、今後も研究を続けていきます。

その方法は、問題対処ですか? 問題解決ですか?

Ylvers / Pixabay

問題に直面したとき、あなたは問題解決をしていますか? それとも、問題対処をしていますか?

問題対処:【効果】目に見えやすい 【効果が出るまでの時間】短い
問題解決:【効果】目に見えにくい 【効果が出るまでの時間】長い

火事が起きたときの対応策を例にあげてみましょう。

「問題対処」
ホースで水をかけたり、消火器を使って消火する

「問題解決」
火事が発生しない方法を考え、新たな打ち手を講じる

どちらが重要かというと、どちらも大事です。ただし、問題対処ばかりしていると、問題が解決されることはありません。そして、いつかは問題対処が通用しなくなります。

お店が広告を打ち続けるのは「問題対処」

例えば、ホットペッパーに掲載されている広告。私が以前関わっていた「使い捨てコンタクトレンズ販売店」も毎月広告を出していました。

この広告費が毎月100万円近くかかることは、一般的には意外と知られていません。

当然と言えば当然です。クーポンを使う人からすれば、タダでもらえるフリーペーパーなのですから…。

掲載料の一例も今や検索すれば、あっさりと明らかになります。

HOTPEPPER 料金表

引用元:http://www.cells-inc.com/price.html

1ページ丸々使った広告を出すと、新宿エリアで85万円、大阪キタ・ミナミで88万円と書いてあります。

「これだけ高額な費用をかけて、元をとれるのか?」というと、非常に危ういのが実情です。

広告に掲載されているコンタクトレンズの販売価格を見ながら、店舗の担当者が「うちの仕入れ値より安い金額で広告が出ている…」と困惑している光景も何度も見てきました。

高額の広告費を使って、原価割れスレスレで販売をする。
広告掲載時だけ、客が来る。
しかし、広告を打ち切った途端、客足が遠のく。
そして、また広告を出す…。

この繰り返しを続けるだけでは、最終的な目標の一つである利益を上げることはできません。事業を営む目的は「高額の広告費を払い続けるため」ではないはずです。

加えて、広告の効果が落ちてきていることも、あちこちの店舗で聞こえてきています。

しかし、どうしていいのかわからず、多くのコンタクトレンズ販売店は、この「負のスパイラル」から抜け出せずにいます。

「問題対処」の売り文句に操られていませんか?

実は、このことは誰にとっても他人事ではありません。同様の構造は、誰の身にも起きています。

1日5分だけ○○をすれば痩せる!
□□さえあれば、内定が出る!
3つの△△で、子供の頭が良くなる!

これらのCMや書籍のタイトルに、惹かれたことがある人は多いのではないでしょうか。しかし、安易な手段に過ぎない「問題対処」をしているだけでは、問題は解決しないのです。

「問題解決」としての「教えない」教育

この「問題解決」に真正面から取り組んでいる会社があります。高知県のカーディーラー「ネッツトヨタ南国」です。

「教えないから人が育つ」横田英毅のリーダー学
走らないトヨタ: ネッツ南国の組織エスノグラフィー

ネッツトヨタ南国の取り組みについては、これらの本で詳しく書いてくれています。

人材教育にあたる際、「どうすればいいのか?」を先輩や上司が教えることは簡単です。結果として明らかに改善が見えますし、教育効果もすぐに出ます。

しかし、教えることは多くの場合「問題対処」に過ぎません。だからこそ「教えない」ことを重要視しているのです。

とはいえ、ネッツトヨタ南国でも、決して何もかも教えないわけではありません。必要書類の手続きの方法などは、決まりきったものは教えてしまえばいいのです。

ただ、接客や営業、人材育成などは、絶対的な答えなど存在しません。その時々で個々人が考える他ありません。このような状況では、教えたくても教えようがないのです。

最終的には自分で考えるのが一番

「自分で考えたところで、わからないよ!」という方もおられることと思います。そういった方にいつも私が聞くことがあります。

「喉が渇いたらどうしますか?」→「何かを飲みます」
「お腹が減ったらどうしますか?」→「何かを食べます」
「では、わからないときはどうしますか?」→「…??」

今まで、答えとして返ってきたのは「考える」「調べる」というものでした。どちらも誰もが自分でできるものです。

たしかに、考えて、調べただけで、すぐに問題が解決するかどうかはわかりません。わからないのですから、何度も打ち手を失敗することもあるでしょう。しかし、それこそが「問題解決」のプロセスです。

今後、安易な打ち手である「問題対処」を選んでしまいそうなときは、ぜひ1秒だけでもいいので「問題解決」を考えてみてください。

求人広告を出す前に、せめて紹介依頼をしよう

geralt / Pixabay

すぐに実施が可能でしかも費用もかからないのに、実施している会社は意外と少ない採用方法があります。

あえてコストを挙げるなら一つだけです。

それは、社長のプライド。

このコストを投じて、やることは非常に単純です。

「現存する社員に人の紹介を依頼する」だけなのです。

「なんだ、そんなことか」と思った方もいるでしょう。

しかし、そんなことすらしていないからこそ、求人広告会社に費用を吸われ続けてしまうのです。

もっとも、費用を無駄遣いがご希望であれば止めはしませんが、せっかくお金を使うなら社員の給料に回してあげた方が有効ではないでしょうか。

紹介を受けるための必須条件とは?

社員から人材の紹介を受けるために必須の条件があります。

「社長が直々に社員へ頭を下げてお願いする」ことです。

これができれば、採用がうまくいく可能性が劇的に上がります。

例えば、下記のようなメッセージを全社員に向けて、話すことができるでしょうか?

「人口減少が続く日本において、求人広告を出しただけでは必要な人手を確保できなくなってきました。

経営者として、今後も際限なく求人広告費に金をかけ続けるより、社員に利益をもっと還元したいと強く思っています。

そこで、会社を継続して運営してくために必要な人材として友人・知人で当社に合いそうな人がいたら、紹介してください。

紹介料も払いますので、どうか力を貸してください」

上記はあくまで一例に過ぎません。しかし、これができる社長は極めて少ないものです。

日ごろ経営者として先陣を切っている矜持があるのだから当然でもあります。

ただ、自分の力だけでは限界があることも身に染みてお分かりのことと思います。

社長に全てを任せているだけで万事がうまくいっている会社は紹介依頼などしなくてもいいでしょう。

社長が「生存している間だけ」は安泰なのですから、今しばらくはそのままで問題が噴出することもないでしょう。

しかし、何でも解決できる「神様」のような万能な社長は決して多くはありません。

このあたりは経営者同友会や商工会のような経営者が集まる場に行くとよくわかります。

どの社長も真剣に苦悩を抱えています。

私たちは人間なのだから、当然です。

だからこそ、社員のみなさんに協力を請えばいいのです。

同じ仲間なのですから…。

紹介が出てきた時に聞いておくべき「質問」とは?

紹介依頼をして、何人かの紹介がある会社は社員との人間関係が良いものです。

組織の風通しもいいのかもしれません。

その場合、求職者を紹介してくれた社員に聞いておくと有益な質問があります。

「大切な友人・知人をなぜ会社に紹介しようと思ってくれたのですか?」

この問いに対する答えを集めていけば、社長や経営陣が思ってもみなかった会社の強みが現れてくることでしょう。

ぜひその点を大切にしながら、さらに伸ばしていってください。

紹介が全く出なかったときは、どうすればいいのか?

問題なのは、紹介依頼をしても全く紹介が出てこない場合です。

社長の紹介依頼の仕方が悪い場合は論外として、まずは紹介依頼に失礼がなかった時のことを考えてみましょう。

おそらく社員はこう考えていると想像できます。

「社長の言うことはわかるし、紹介もやぶさかではない。だが、こんな状態の職場に大事な友人・知人を巻き込むわけにはいかないよなぁ…」

これは実際に社内で紹介依頼を受けて、紹介しなかったとある社員さんが漏らした本音です。

全く紹介依頼が出ない場合、会社の現場は何か致命的な不具合を抱えている可能性が高い。

それを放置したままで、求人広告を打ち続けても何の解決にも繋がりません。

仮に採用できたとしても、すぐに離職されるのがオチだからです。

そして、また求人広告を打つことになります。

安直な打ち手を繰り返すだけのまさに「対症療法」に過ぎません。

必要なのは、根本から改善を図る「根治治療」です。

根っこにある「致命的な何か」を明らかにする必要があるのです。

そのために有効なものが「無記名の社内アンケート」だ。

現場の社員の声を集める無記名アンケート

現場のことは現場の社員が一番よく知っています。

だから社員に聞けばいいのです。

しかし、いくら事実を明らかにするためとはいえ、会社の悪いところや場合によっては特定の人物の改善点を暴くのは誰でも気が引けるものです。

だからこそ「無記名」である必要があるのです。

当然ながら無記名にすれば全てが解決されるわけではありません。

しかし、少なくとも記名式で建前だけの意味不明な意見を集めるよりは有効です。

無記名の社内アンケートが会社を救う

私の友人が勤めている会社での実話です。

長らくアルバイトの定着が非常に悪い状況でした。

社長には理由がわからなくて、「時給が低いせいなのだろうか…」と頭を抱えていたそうです。

しかし、とあるきっかけから社内で無記名のアンケートをとってみると、想定していたものとは全く違う声が上がってきたのです。

いじめです。

社長はアンケートに書かれていたこの三文字の言葉に愕然としていました。

この状況を所属長ですらもはっきりとは認識していなかったようです。

即刻社長が対応に動くと、定着率が大幅に改善したとのこと。

わかってしまえば、当然の結果です。

見えていない社内の環境を知るためには無記名アンケートが有効

人間は万能ではありません。

やり手の社長とはいえ、全てを自分で管理しきれるわけではありません。

社長が見えないところは、サポートをしてもらう必要があります。

そのためのきっかけを社内の無記名アンケートは担ってくれます。

ただし、無記名アンケートをとっても何もしないつもりであれば、アンケートはとらない方がいいのは明らかです。

「うちの経営陣は、問題がある現状を把握したにもかかわらず、何もしない信用ならない奴らだ」となってしまっては、取り返しがつきませんから。

とはいえ、そのような会社はどのみち働き手がいなくなって消滅するわけですから、放っておいても問題はないのかもしれませんが…。

もし求人募集でお困りの経営者・採用担当者がおられたら、一度でいいから、社内で紹介依頼をしてみることを強くおすすめします。

余計な金は一切かかりません。

ただ、真摯に依頼をすればいいだけです。

紹介が全く出なかった時の社内アンケートのテンプレ・ひな形

紹介が一切出ない時、どのようなアンケートをとればいいのかに困る会社も多いことでしょう。

私が使っている無記名アンケートを下記に公開しておきます。

興味があればどうぞお使いください。

人材紹介依頼のための 社内アンケート①

人材紹介依頼のための 社内アンケート②

 無記名の社内アンケートの具体的な使い方

まずは「社長から紹介依頼を全社員にする」を実施します。

その後、1ヶ月は待つといいでしょう。

その間、週に1度は社長から全社員に紹介依頼のメッセージを伝え続ける必要はあります。

人は一度言われただけでは忘れるものですから。

そして、最初の紹介依頼から2ヶ月ほど待っても、全く紹介がなければ無記名アンケートの出番となります。

そこで、まずは①のアンケート「仕事を探している友人・知人に(自社)を紹介したいですか?」です。

この問いに対する答えに「いいえ」が多いようなら、紹介依頼をしても効果は見込めないでしょう。

加えて、求人広告を使って募集をしてもすぐに離職が発生することも目に見えています。

それでもとりあえず人を確保することが必要になることもあるでしょう。

しかし、残念ながらそれだけでは何も解決しません。

延々と求人広告会社が喜ばせるだけになってしまいます。

そうならないために、①のアンケートには理由を書く欄を設けています。

そこで社員の本音が少しは垣間見えるはずなのです。

そして、その中の一つでいいので、社員と一緒になって解決に動くことです。

ネッツトヨタ南国のように、アンケート結果を社内に貼り出せば、全社員と共有もできます。

もはや情報は経営陣だけのものではありません。

①で見えてきた問題について、何か一つでも解決に動き出せたら、②のアンケートの実施時期です。

設問は「この会社で働き続けている理由はなんですか?」というものです。

①では不満がたくさん集まるかもしれませんが、それでもなお働き続けているのも事実です。

続けるからには何か理由があるはずです。

それがわかれば「どんな人に来てもらえればいいのか?」「会社を求職者へどのように紹介すればいいのか?」などが見えてきます。

一度でいいから試してほしい

最後までこの記事を読んでくださった方は、だまされたと思って社内の声に一度耳を傾けてみてください。

回収したアンケート結果を見て「社員がこんなことを考えていたなんて…全く気付いていなかった」とショックを受ける経営者も少なくありません。

しかし、そこから劇的に会社を変えていった社長を何人も知っています。

会社に関わる全ての人々にとって、良い会社が増えることを切に願っています。